続々ソフトウェア産業とかいろいろ
昨日、久々に外で酒を飲んだら、案の定眠くなってしまい散々だった。本当すみません兄貴。
そして私の兄貴分たちにまつわる、めでたいニュースが次々と。おいらも頑張ります。はい。
そしてこないだの修正が、とりあえず終了。まだごく一部手直しの必要ありか。
引き続き、その原稿のためにいろいろ読んだ本の一部を……(紙幅の関係もあり大部分は直接反映されていない)。多分これが最終回。
◆戸塚秀夫・中村圭介・梅澤隆,1990,『日本のソフトウェア産業――経営と技術者』東京大学出版会.
「日本的経営」が、ソフトウェアという新しい産業の登場により、どう変容を蒙っている/いないのか、という着眼のもと行われた調査の記録。
いろいろ興味深いですが、私的なポイントは:
・中小零細企業が多い。初期投資が少ないので参入障壁が少ない、新しい産業なので制度的条件がまだ固定されていない、などの要因により(16)
・成長基調で、消滅したデータ外のものを除けば、ほとんどの企業が成長を続けている(17)
・技術者は人手不足気味、その人数は急増中:1企業平均で22.7%増加
・新卒が主で、不足分を中途採用で補う例が多い(95)
ところが:
・離職率は、小規模の所ほど大きい。従業員9人以下は16.8%、100人以上だと6.2%(96)
しかしいずれにせよ:
・これはつまり、比較的若い、高学歴のソフトウェア技術者集団が大量に存在しているということ。年齢・学歴・勤続年数などによる管理が有効ではない。すべてが役職につけるとは限らない。
→モラール維持のための処遇上の仕組みが必要である。
→とはいえ能力主義をとるにしても、客観的な資料がない、評価できる考課者がいない、個人の実績評価は困難である、などの問題がある
→役職と離れた資格制度=「昇進と昇格の区別」が必要だと提言される。
「資格制度によりソフトウェア技術者のモラールを維持するには、少なくとも各資格等級と役職の対応が緩やかなものでなければならない。つまり管理職ポストが不足しているため職位上の昇進が可能ではなくとも、能力と適性があれば資格上の昇格は可能というのでなければ、ソフトウェア技術者のモラールの維持は図れない。もちろん昇進・昇格の際の人事考課、評価がいかに困難かは、すでに述べた。しかし資格、役職、賃金が一体となった資格制度の形態では、ソフトウェア技術者のモラールの維持は不可能である」(124)
という訳で、「社内のポストの配分」に話が収斂していく。堺屋太一『団塊の世代』の亡霊は、IT化の中でも生き残っていたのである、と、とりあえず読んでおく。
◆新井進,2003,『よくわかる情報システム&IT業界』日本実業出版.
なんか適当に買ったんだけど、そのスジでは評価の高い本らしく、いろんな所で推薦されているのを見かける。
「SE」という職に就いた人々の、あり得るキャリアステップなどが詳しく書いてある。いろいろ泥臭い話も書いてあって、特に:
・80年代を通し、日本の情報産業とは第一に、金融・物流・製造メーカーなど各種の既存産業のうち、社内の情報処理を担っていた部門がシンクタンクなどとして分社したもののことであり、第二に、コンピュータのハードメーカーから分社したソフト部門のことだった。
・企業内の情報部門と、ハード会社のソフト部門とを橋渡しするべく、80年代後半以後に急増したのが、独立系システム会社である。各種のコンサルティング会社など。
その仕事は、クライアントの企業の活動のうち、コンピュータでフロー化可能な部分を見極め、既存業務を合理化することである。いわば日本におけるIT産業は、既存の大企業の活動の延長か、あるいは「企業向けサービス産業」のいずれかとして発展した。
・狭義のIT産業である後者の内部には、情報的な技術開発ではない、対企業サービス職に近い部門が多く含まれる。しかもその内部には「ゼネコン的下請け構造」があり、特にプログラミングなど、開発に近い仕事が下請けのものとなっている。
……みたいなことが重要かと。まあ似たようなことはどこでもあるんでしょうけどね……。
これからSEの労働に関する研究とか増えそうだけど、入門編として最適かもしれない。あと就職関連業務の参考にもなりそう。
◆畠山けんじ著、久保雅一企画・監修,2005,『踊るコンテンツ・ビジネスの未来』小学館.
・ジブリの鈴木敏夫さんのインタビュー:
(日本のコンテンツ産業の未来は明るいか暗いかという質問に対し)
「しばらくの間、暗いでしょうね。日本が不景気になれば、本当に貧乏になれば明るくなりますよ。豊かな時代に育った人たちは、残念ながら本当の意味での送り手にはなれないでしょう」
まあぶっちゃけ、後進を育てる気はない、ということですよね。おれは外部の人間だから、別にいいんですけどね。
・経済産業省・広美郁郎・商務情報制作局文化情報関連産業課長のインタビュー
非常に面白いし貴重な資料なんだが、単純に考えて、「昔の製造業がやったみたいに、業界団体を作って税金の受け皿を作る」という提言と、「やはり制作資金は独立系プロデューサーが投資家からお金を集めた方が良い」という提言とは、矛盾するような気がするんだけど……しないのかな。よく分からない。
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