師弟の情とは、複雑なもので
ちょっと遅いくらいなのですが、拙著に寄せて頂いたコメントをいろいろ拝見しました。教えてくれた人々に感謝。
そんで非常によくあるのが「姜尚中の弟子だから」云々というもの。「なるほど納得」とか書いている(笑)のが、よくある。大体の場合、そこで何に「納得」しているのか、具体的な言及はさしてない。要は「知ってる名前がたまたま出てきた」という以上の意味はないのでしょう。
漠然とだがまだ分るのは、「韓国・中国のことを誉めて、日本のことをけなしているのが気に食わない」という意見。それが「姜尚中的」なんだそうである。
確かに拙著の結論部には、ごく限定されたある意味で「韓国や中国の方が今の日本よりマシだと思う」と書いてある。でもその他の大部分は、どう見ても「三ヶ国は同じ問題を抱えている」という主旨で書いてあると思うんだけどな。
特にポスコロ期の姜さんの著作には、「韓国や中国のナショナリズムに甘い」と言われても仕方ない部分があったと思う。というか、その意味で彼よりよっぽど問題ある例は、露出してないだけで、他にいくらでもあるんだけど。
そう思うから、私は拙著で、それと全然違うこと、というか結構批判的なことを書いたつもりだった。正直「もしかしてモメたりしたらどうしよう」とか思ってたし、出版にあたって推薦文とかそういうのも一切頼まなかった。
すでに脱稿して本が出た頃、丸一年ぶりくらいに会って話す機会があった。その時、姜さんと自分の関心が、最近共通するようになってきていることを知って、正直ちょっとびっくりした。
ざっくり言えば、今となってはナショナリズムそれ自体を良いとか悪いとか言っても仕方ないこと、日本のナショナリズムと韓国のナショナリズムを原理的に区別することなどできないこと、そういう議論が無効になっていった背景には「開発体制とその変容」みたいな歴史的推移があること、などなどである。
それを聞いた私には、うれしいような、悔しいような、微細な個人心象ミニドラマがいろいろありました(笑)。これも姜さんだけじゃなくて、「やっぱみんな似たようなこと考えるもんだなあ」と思うことが、最近よくある。そんで、私なんかよりずっと優秀な「みんな」がたくさんいるので、このごろ自己嫌悪気味です。
ともかく、なのに「なるほど納得」とか言ってる人がいるのは、よく分からない。もしかして、一応「弟子」の私も知らなかった、彼の最近の変遷を、くまなくチェックしているんだろうか。すごいもんですね。おれ、否定にしろ肯定にしろ、そこまで彼に粘着するつもりは、ハナからないんで。はい。
もっと重要なご批判については、また追い追いに……。
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